新企画「手作りカメラで撮る”青のまち”」を、2020年11月3日つくば市小田の古民家「華の幹」にて開催しました。
朝から変わりやすいお天気で、空模様と相談しながらの活動となりましたが、全員が青写真カメラの製作とテスト撮影まで完成。
雨上がりの小田のまちを、子供たちがカメラを持って元気に駆け回りました。
感光紙は1枚換算20円くらいでネットで買えます。
これからもたくさん撮って、特別な家族の時間を楽しんでくださいね。
※この集いの一部は、後日つくば市公式YouTube等より一般公開する予定です。
今、敢えてカメラを手作りする
スマートフォンのカメラで誰でも簡単に綺麗な写真が撮れる時代に、敢えてカメラを手作りします。
そして便利さの裏側にある、もっと大切な「自然や人とのつながり」を再体験したいと思います。
自動では何も設定してくれない手作りのカメラは、身近な景色が本当は光で溢れていることや、天候や時間でどんどん光が移り変わっていることを教えてくれます。
それが今この瞬間に、地球や太陽が織り成しているダイナミックな自然の姿です。
こうした世界をぜひ感じて頂きたい、と思いました。
カメラと写真の歴史を紡いだ人たち
古くは紀元前アルキメデスが日食の木漏れ日が欠ける現象を発見して以来、カメラは小穴を通して映像を投影する装置「カメラ・オブスキュラ」として発展してきました。
そこからレンズで光を集める「光学」、19世紀には光で色が変わる「感光材」、焼き増しができる「ネガポジ法」が発明され、やっと現在のカメラの姿に至りました。
サポータのコマッキーさんが、数千年の歴史をプレゼンで駆け抜け、そこに関わった技術者たちの物語を紹介しました。
現代の技術がわたしたちに受け継がれた背景には、時空を超えたそんな人々の想いがありました。
今回作るカメラは、感光紙を貼るホルダーの代わりにスクリーンを入れると、このオブスキュラに変身します。
青写真の構図を合わせるために、オブスキュラの映像を使うのです。
家族で同じ目標に向き合う
“子どもたちと一緒ならできる”と参加してくださったお母さん。
カメラにはレンズから来る光以外を入れないよう、しっかり密閉します。
だから1mmに満たない厚さを、紙をキッチリ巻いて調整しました。
カメラの本体にはめてみて、合わなければまた調整する、緻密な作業です。
40個ほどもある工程を、ひるむことなく親子でやり切りました。
“ものづくり”に没頭する
「角を45度に落とした木片を4枚、四角形に接着材でつけて輪ゴムで固定する。」
これをどうやって作るか考えます。
木片を四角形に組んで、輪ゴムをかけてから接着剤?(接着剤が入らないなあ)
木片に接着剤を塗ってから四角形に組んで輪ゴム?(あ、カタチが崩れた)
そうか、接着剤を塗った木片をだいたい四角形に輪ゴムをかけてから、調整する!
「ほら、持っててあげるから」
親子が手を動かし知恵を出し合い、正解を導いています。
それこそが素晴らしいのだと思います。
オブスキュラで見る世界
この日は次第に晴れる予報でしたが、午後になってもまだ降り続きました。
やっと雨が上がったのは、14時を回ってから。
「駆け足でも、”まち”に出よう!」
まちを案内してくださる地元のサポータと、辺りを歩きました。
子どもたちは手に手にオブスキュラを持ち、好きな所を見ています。
目で見るのとは違った景色に、時々あれ?とかざし直して確かめていました。
同じように見えても、オブスキュラでは明るくクッキリしたところと、暗くて分からないところがあります。
カメラはそんなダイナミックな光を捉えているのです。
雨上がりの小田のまち
小田城跡の大手口から一ノ木戸に出ると、宝篋山が目の前に迫ってきます。
かつて忍性が拓いた極楽寺から移設したという「不殺生界碑」、中地区の火の見やぐらの前を通り、昭和の店先が残る大通りを経て華の幹に戻りました。
作品の完成
華の幹の庭にカメラを設置し、いよいよテスト撮影を始めました。
そして時間がきたらホルダーを外して暗室に持って行きます。
家族が身を乗り出す中、子どもたちが自分で感光紙にアイロンをかけると、一瞬で鮮やかな青の風景が浮かび上がりました。
はじめて作ったカメラではじめて撮った青写真をフォトスタンドに収めると、スマートフォンで記念撮影。
その数秒の撮影を、一日かけて原理から体験しました。
ここに見過ごしてきた「豊かさ」を再発見していただけたら、これほど嬉しいことはありません。
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